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講演概要および発表時に使用したOHPフィルムは下記。
15aSD-12「文法レベルでの自然」については、講演概要に書いてある事の他に、あるいは、講演概要に書いてある事を言葉を変えて、「世界物理年に当たる本年は既存のパラダイムの枠内での研究の成熟と行き詰まりや経過した年数に鑑みて物理学研究に根本的に新しい潮流が生じるにふさわしい時期です」「量子力学と相対性理論の背景に実証主義があったように、僕の文法主義が物理学の更なる飛躍の契機となることを望みます」「文法主義はこれからの物理学の基礎研究の主流となるべきものであり、宇田の言うとおりだと感じたけれど宇田が言い出した事だから皆でそっぽを向こうとか、言ってる内容はもっともだから受け入れるがそれが宇田の手柄になるのは気に入らないから名前を変えて皆で追究しようとか、くれぐれもそういう事はしないで下さい」とアナウンスした。
さらに、下記OHPシートにあるように、1質点系の古典力学の座標系を具体的に説明する事によって僕の言う座標系概念に対する理解が得られるよう図った。
それに際して、日本物理学会2003年秋季大会で僕が説明した事のおさらい、と称して、その座標系を構成するための部品であるところの写像cm,D,clockを説明した。
さらに、文法レベル、法則レベル、法則の解レベルという階層構造を提示する事により、物理学全体における文法主義の位置付けを明らかにした。
1質点系の量子力学の座標系を具体的に提示し古典力学から量子力学への移行が座標系の変更である点を明確にした。
文法主義の当面の課題に対する取り組みとして、他の発表者から盛んに聞かされた非可換時空の研究は現実がそうなっているかどうかを別にすれば場形式に代わる新文法としては僕はこれを肯定的に評価する旨を述べ、それ以外にも様々な新文法の可能性を探る事が建設的であるという文法主義の価値観を付け加えた。
これは、現実世界に対応しない文法にも価値を認める、という意味ではなく、現実世界に対応する新文法を見出すには様々な可能性を当たってみる必要がある、という意味だ。
文法主義の当面の課題に対するもう一つの取り組みとしては、量子論の基本原理に代わる新文法として、1質点系に対する僕の新文法を紹介した。
これについては
「詳しくはまた機を改めて発表します。
この新文法は冒頭で紹介したサイト(http://groups.msn.com/grammar)に2005年5月27日にアップロードしました。
既存の量子論において瞬間的に起こるとされている現象をさらに詳しく分析するために使えるかもしれません」
と述べた。
この発表に対して何らかの質問があり、それに対して僕は「文法レベル(の研究)だけでは(理論建設は)終わりません。
しかし、(法則レベル以降に踏み込まなくても)文法レベルだけでもそれなりに含蓄がありますよ」と返答し、僕の新文法の含蓄たる量子歴史の分析不能性に言及した。

講演概要

15aSD-12
日本物理学会講演概要集
第60巻
第2号
第1分冊
8ページ。

English
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20aXC-1「世界物理年:アピールすべき物理学の魅力」では次のようにしゃべった。
若者に物理学の魅力をアピールする方法として世界物理年にふさわしいのをやって見せます。
高校生向きです。
これを見て演示実験はこれよりも浅薄だということを感じて下されば幸いです。
真の思慮深さとは何かについて生徒を啓発する事が大切です。
その目的を果たすのは演示実験などではないと私は考えます。
(1枚目のOHPを指示しつつ)跳ね返り係数の式は、V1,V2,V1',V2'の値が変わっても右辺の分数の値が変わらない、という内容を含んでいます。
そのことが実験をして見なければ分からないならば、この式は法則を表す式だということになりますが、実験をしてみるまでもなく右辺の分数の値が一定に成る事が明らかならば、この式を定義式と考えても良い事になります。
で、この、跳ね返り係数の式が定義なのか法則なのかの詮索、をもって、高校生向けの「相対性理論入門」「理論物理学入門」としたいと思います。
(2枚目のOHPを指示しつつ)衝突後の速度は衝突前の速度の関数として決まっているはずです。
その関数形をf,gとします。
右向きに速度V0の人が同じ現象を見ると衝突前の速度がV1-V0,V2-V0で衝突後の速度がV1'-V0,V2'-V0です。
今やっているのは生徒向けの解説です。
このことと(3枚目のOHPを指示しつつ)相対性原理「どの慣性系で測っても物理法則は同じであるという事」を考え合わせると、動いている人が見るんじゃなくて止まっている人が見ても、衝突前の速度がV1-V0,V2-V0だった場合には衝突後の速度はV1'-V0,V2'-V0となるはずです。
このように実験せずして実験結果を知るプロセスを思考実験と言います、と言って生徒に思考実験や相対性原理を紹介するわけです。
V1'にf (V1,V2)、V2'にg(V1,V2)を代入すると、f,gが赤枠内の式で表される性質を持つことが分かります。
相対性原理が式で書けるなんて、って思うでしょ?これが理論物理学なんだよ、と言って(理論物理学を)生徒にアピールします。
(4枚目のOHPを指示しつつ)赤枠内の式においてV0は任意だからV0=V2と置く事によって灰色枠内の式が導かれます。
(青枠までたどって)つまり、V2'-V1'はV2-V1だけの関数だと分かります。
(5枚目のOHPを指示しつつ)衝突前の速度の大きさを変えず向きだけ逆転させると衝突後の速度も大きさは変わらず向きだけ逆転する、という物理法則の空間反転対称性を使います。
これも、実験してみるまでもなく、そうなるだろうと分かる事です。
灰色枠内の式でV1=x,V2=0と置き、4枚目のOHPから分かるFの定義F(x)=g(−x,0)−f (−x,0)を使うと、Fは奇関数だと分かります。
(6枚目のOHPを指示しつつ)さらに、Fの性質を明らかにするために、V1'とV2'の大小関係はV1とV2の大小関係と逆であるという事、および、衝突前の相対速度がゼロならば衝突後の相対速度もゼロである事、を使います。
これらは両方とも実験せずに分かることです。
ここまでの考察により結局、Fのグラフは図のようになる事が分かり、したがって、原点近傍ではF(x)≒−exと書けます。
この事は、ほとんど実験せずに分かる事だけから導き出されました。
跳ね返り係数の式は、この分だけ定義式と見做せますが、完全に定義であるわけではなく、オームの法則(が電気抵抗の定義である)程度には(跳ね返り係数の式は)定義であり、オームの法則(が法則である)程度には(跳ね返り係数の式は)法則である、と考えられます。
以上が、生徒に物理学の魅力を教える一つの方法です。
参考にして下さい。
発表は以上。
聴講者から、1枚目のOHPに書かれている跳ね返り係数の式は定義式であり、かつ、この式はeが定数であることを含意するものではない、との指摘を受けた。
これに対して、僕は、次のように述べた。
自分が高校生を指導していた約10年前頃(本件を編み出したのはこの頃)は、跳ね返り係数の式についての学習参考書等の記述はどれも、これを定義式であるかの様に言うものだったが、数日前書店で最近の学習参考書を見てみると、跳ね返り係数の式についての記述は、この式を定義式と考えているとも法則の式と考えているともどちらとも取れる様な含みを持たせた表現に成っていることに気付いた。
オームの法則が(電気抵抗の)定義式ではない(電流と電圧の比例関係を主張する法則である)のと同様です。(故に、跳ね返り係数の式はeが定数である事を含意する、と考えるべきです。)
このように僕は返答した。
事実、高校生の指導中に僕がeを定数としていない演習問題に出会ったことは一度も無い。
後で考えてみると、もっと優れた返答の仕方を思い付いた。
それはこうだ。
跳ね返り係数の式は定義式であり、かつ、この式はeが定数であることを含意するものではない、との認識を出発点として、そこから生徒への説明を始めても、今回の僕の発表の大部分は効力を失わないが、そのやり方では、定義と法則の概念的区別に対する生徒の批判的思考力を啓発できない。
この点を改善するために、まず、教師の側から生徒に向かって、e=−(V2'−V1')/(V2−V1)で定義される定数eを跳ね返り係数と呼ぶ、と言い放ち生徒からの批判を待つ所から授業を始めるのが良い。
このように返答したかった。
「先生、それはおかしいよ。右辺が定数になるかどうかは人間が勝手に決めれる事ではないから、それが定義だなんて」という生徒からの批判があれば、それを大いに褒めるべき、との認識は示しておいた。
オームの法則以外に類似の法則としては、摩擦力と垂直効力と摩擦係数の関係式が挙げられる。
発表および質疑応答が終わった後に、休憩時間が存在し、その間に、聴講者の一人から、演示実験は浅薄だとする僕の意見について説明を求められ、僕は説明した。
日本物理学会誌2006年6月号428から432ページに関連記事を見つけた。


講演概要

20aXC-1
日本物理学会講演概要集
第60巻
第2号
第2分冊
266ページ。
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最終編集2014年09月27日