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2012年02月25日(土曜日)
2体経済回路で見る価値保存
物理学では保存則は∇・J+∂ρ/∂t=0で表される。
Jは流れの密度で、ρは密度だ。
エネルギー保存則の場合には、Jをエネルギーの流れの密度、ρをエネルギーの密度、とすれば良い。

2012年02月23日の記事で提起した2体経済回路に、この基準を適用すると、抵抗器の位置と起電力の位置でエネルギー保存則が破れている事が分かる。
正確には、それらの位置では、回路の外からエネルギーが流入したり、回路の外へエネルギーが流出しているだけで、本当にエネルギー保存則が破れているわけではないが、経済循環機関の価値保存機能の正体を解明するには、抵抗器の位置と起電力の位置でエネルギー保存則が破れている、という解釈で良い。

AとBの内部について考えず、AもBも点だ、と考えれば、抵抗器で消失したエネルギーをAとBの各々が起電力で補填する事によって、エネルギー保存の破れを、外目に見ても分からない様に、取り繕う事が出来る。
その条件は、
(Aに単位時間当たりに流入するエネルギー)-(Aから単位時間当たりに流出するエネルギー)=(CAに蓄えられているエネルギーの単位時間当たりの増加)
(Bに単位時間当たりに流入するエネルギー)-(Bから単位時間当たりに流出するエネルギー)=(CBに蓄えられているエネルギーの単位時間当たりの増加)
であり、これが常時成り立っている事が、経済循環機関において価値保存則が成り立つ事、に対応する。

さて、この条件は、物理的な原因だけでは成り立たない。
物理的な原因だけでは成り立たない、というのは、AとBが起電力を作為的にコントロールして帳尻を合わせなくても自然に成り立つ、なんて事は無い、という意味だ。
その事は、昨日の計算結果を使えば、具体的に確認できる。
流入と流出の差が貯蓄変化に丁度等しく成るには、起電力の供給エネルギーとR0の消費エネルギーが等しくなければいけないが、電流が時間と共に変化するので、起電力の調整無しに、そうは成らない。

したがって、経済循環機関の価値保存則は、心理的な原因によるものである。
心理的な原因による、というのは、AとBが契約に従う義務感や責任感を感じる事によって成り立つ、という事だ。

しかし、
2012年02月23日の記事で提起した2体経済回路には、2012年01月20日の記事に書いた様な、生卵を食べて生産力がアップする可能性の様なものは、盛り込まれていない。
この様な機構を盛り込むには、R0をモーターに置き換え、そのモーターで発電機を回し、その発電機の起電力をEの一部だと考えるとよい。
そう考えると、経済循環機関の価値保存則は物理的な原因だけで成り立つだろうか?
2012年02月23日の記事で提起した2体経済回路ではそう成り得るが、現実の経済ではそうは成らないだろう。
生卵を食べて生産力が潜在的にアップしても、それを駆使して生産するか否かは、本人の意志に委ねられているし、モーターの消費電力によって表されている価値消失量よりもEの供給電力によって表されている価値生産量の方が普通は大きいから。

以上ではAとBの空間的な広がりを点に縮めて考えたが、時間的な広がりについては、何か言える事は無いだろうか?
エネルギーの流入と流出の差を貯蓄しなくても、まずは流入分を消費して消失させ、その後で流出タイミングに間に合う様に起電力で貯蓄を増やしておくとか、流出時に、対外的には貯蓄の取り崩しと称して実際には起電力で供給する、という事が、AやBの時間的な広がりの内容だろう。
2012年02月23日の記事で提起した2体経済回路は、A,Bのこの様な時間的広がりを点に縮めた模型だ、と言える。

まずは流入分を消費して消失させ、その後で流出タイミングに間に合う様に起電力で貯蓄を増やしておくとか、流出時に、対外的には貯蓄の取り崩しと称して実際には起電力で供給する、というのは、借りた壷を割って壊した後で、全く同じ物を自作して返却する、といった様な事だ。

結論としては、金銭以外の実体財の保有という形での物理的貯蓄に加えて、義務感や責任感という心理的貯蓄も、貯蓄の内容に含めれば、AとBの各々について、
(単位時間当たりに流入する価値)-(単位時間当たりに流出する価値)=(価値の貯蓄の単位時間当たりの増加)
という条件、言い換えれば、
(単位時間当たりに流出する価値)-(単位時間当たりに流入する価値)=(価値の貯蓄の単位時間当たりの減少)
という条件が成り立ち、これが経済循環機関の価値保存機能の正体である、と言えそうだ。