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2012年01月23日(月曜日)
置き貨幣
昨日の記事には、負の通貨制度は、電子マネーによってなら可能だが、紙幣や硬貨の様な物によってでは実現不可能だ、と書いたが、その後、富山の売薬で有名な置き薬の方法を応用すれば、紙幣や硬貨の様な物によってでも実現可能だ、という事に気付いた。

置き貨幣というものを考えてみた。
これは、私の試案であって、実際にあったわけではない。
実際にすれば良い、とも思わない。
現行の通貨制度の特性を浮き彫りにするために、置き貨幣制度というものを考えてみる。

置き貨幣というのは、通貨制度開始時に、全ての人に巨額(人ごとに違ってて良い)の貨幣を渡して、そこから減った分だけ、その人が負の通貨を持っている、という風にカウントする方法だ。
これなら、負の通貨を持っている人が、それを都合が悪いから勝手に捨ててしまって知らん顔をする、という問題は発生しない。

通貨制度開始時に各人に渡された置き貨幣は、渡された人が管理するが渡された人の財産ではない。
渡された人の借金でもない。
しかし各人は、渡された置き貨幣で購買しても良い。
(置き貨幣の現在の金額)-(置き貨幣の最初の金額)=(渡された人の財産の通貨部分)
という風に考える。
自分が置き貨幣を最初1億円渡されたのに今9千9百万円しか持っていなければ、自分の財産の通貨部分はマイナス百万円だ、という風に考えるわけだ。

こういう風にしておくと、自分が負の通貨を持っている、という事実の証拠を隠滅する事は、現行制度下での窃盗と同難度に成り、非常に難しい。
したがって、置き貨幣の証拠機能は、現行制度の貨幣の証拠機能と同程度だ、と考えられる。

計算機能についても、受益者が与益者に貨幣を渡す、という現行制度の方法を、そのまま使う事が出来るので、置き貨幣の計算機能は、現行制度の貨幣の計算機能と同程度だ、と考えられる。

しかし、この制度を実際に実施するとすれば、他人の管理する置き貨幣を盗みたい、という気持ちを人々の心にたくさん作ってしまう、という問題はあろう。

置き貨幣は現行制度の意味での借金ではないので、後で渡された置き貨幣に利子を付けて返さなければいけない、という心配は要らない。

さて、置き貨幣の方法によって、負の通貨制度が物質的にサポート可能だと分かったので、以下では、負の通貨制度と現行の通貨制度の対応関係を付け、その事によって、現行の通貨制度の問題点を探る。

現行の通貨制度では、自分の財産の通貨部分がゼロ円である事は、特別の絶対的な意味を持っており、それ以上支払えない特別な状態を意味する。
また、現行の通貨制度では、借金というものが非常に深刻な事態として認識されている事も、財産の通貨部分がゼロ円である事が特別な意味を持っている事、を物語っている。
借金には利子が付くが、正の通貨財産には利子が付かないので、ゼロ円は有利子と無利子の境界を定めている。

しかし、負の通貨制度では、そもそもの最初から、財産の通貨部分がゼロ円である事は特別な状態ではない。
自分の財産の通貨部分がゼロ円である事は、渡された置き貨幣を使わずにそのまま持っている(受益しなかった)か、使った(受益した)分だけ後で補って(与益して)元に戻している事を意味するだけで、それはそれで他の状態とは違うが、その状態からまだ支払えるからだ。
置き貨幣をどこまでなら減らしても良いのか、置き貨幣の下限を決め、置き貨幣をその下限まで減らした状態が、実質上は、現行の通貨制度における財産の通貨部分がゼロ円である状態に相当する。
つまり、置き貨幣制度は、実質上は、制度を現行のままに保って、置き貨幣の減らしても良い限度量の分だけの普通の貨幣を無償で配ったのと同じだ。

この対応関係を使うと、現行制度の始状態を、負の通貨制度の始状態に、翻訳できる。
現行制度の始状態では、誰か1人だけが貨幣を持っていて、他の全ての人が貨幣を持っていない。
これに対応する、負の通貨制度の始状態は、だれか1人だけ財産の通貨部分の下限が負(置き貨幣を有限の量だけ減らしても良い)で、他の全ての人の財産の通貨部分の下限はゼロ(置き貨幣を全く減らしてはいけない)で、財産の通貨部分の下限が負の人も含めて全ての人の財産の通貨部分の初期値がゼロである、といった状態だ。

まず、この状態に問題は無いか、考えたいが、それ以外にも、そもそも負の通貨制度には、財産の通貨部分の下限を定めずに、他の規則を置く事で、対処できないか、という問題もある。
もし、財産の通貨部分の下限を定めず適当な規則を置く事で、厳密に公正な負の通貨制度を作る事が出来るなら、その制度は現行の制度に翻訳できないので、現行の通貨制度の歪みは、その制度からのズレとして観測されるだろう。

昨日までの記事を全部読めば分かる事だが、念のために言っておくと、現行の通貨制度の始状態の問題点は、誰かが最初から通貨を持っている事ではなく、その他の誰かがその分だけ負の通貨を持っていない事だ。
だから、遺産相続がいけない、と言っているのではない。