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2012年01月17日(火)
貨幣の動力学(2)
昨日の記事に書いた事をまとめると、貨幣で主君の所有物を買える、という条件を置かず、主君が、それまでの自分の所有物に付け加える形で貨幣を鋳造して持ち行使したならば、後々で税がその貨幣で支払われるとしても、それは主君による家臣と臣民からの徴収(実質上の増税)である、という事だ。

では、貨幣で主君の所有物を買える、という条件を置いた場合には、どうだろうか?
この問題を考えるために、再び、n人の人P1,P2,・・・,Pnが居て、PjがPj+1から手袋をもらい、PnはP1から手袋をもらう、という一連の取引を考える。
手袋はn-1対しか無いとし、手袋を持ってないのはP1だ、とする。
ただし今度はP1が、手袋は持っていないが靴下を1足持っていて、P2から手袋をもらう時にP2
「手袋をくれ。代わりの手袋をP3からもらえば良いじゃないか。P3に断られたら埋め合わせに私の靴下をあげるよ」と言う。
その結果、P2がP3
「手袋をくれ。代わりの手袋をP4からもらえば良いじゃないか。P4に断られたら埋め合わせにP1が靴下をくれるって言ってるよ」と言う。
その様な事が繰り返された後で、PnがP1
「手袋をくれ。代わりの手袋をP2からもらえば良いじゃないか。くれないんだったら君から靴下をもらえる約束らしいね」と言う。
こうして、どこかで取引の不成立が発生しない限り、表面上は昨日の記事に書いたのと全く同じ現象が起こる。

取引の不成立が発生しない場合には、どの人の手袋の所持状況も昨日の記事に書いた状況と同じだが、昨日の記事の状況と違って、この場合には、P2,・・・,PnがP1に何か貸してる感覚を持つだろう。
しかし、それは、取引が不成立に成るかもしれない、というリスクをP1から負わされている、という感覚であって、僅かの時間だけ手袋を貸している、という感覚を持つ人は居ないだろう。
だから、ここでもP1は、P2,・・・,Pnに気付かれず、手袋を借りる事が出来ている。

不確実ではあるが、P1は、運が良ければ靴下を手放さずして実質上は手袋を無償でもらう事が出来た状況に成り、運が悪くても、手袋と靴下の物々交換をした状況に成るだけで、これも損ではない。
したがって、このページで説明した取引においてもP1は、P2,・・・,Pnに気付かれずして無償で何かを得て、その分だけP2,・・・,Pnに損を分担させている。

取引が不成立に成るかもしれない、というリスクは、昨日の記事で説明した取引と本日の記事で説明した取引の本質的な違いだろうか?
取引が不成立に成るかもしれない、というリスクは、昨日の記事で説明した取引においても有るはずだ。
昨日の記事で説明した取引においては、主君(P1)が、取引には必ず応じなさい、という法的強制力を設定していた、と考えるなら、本日の記事で説明した取引においても、それを設定すればよい。
だから、Pjから手袋を要求された時にPj+1は断れないが、PjはPj+1に手袋を要求するかP1に靴下を要求するか自由に選択できる、という設定にすれば、本質が見えて来る。
この設定の場合、P1が靴下を手放さずに済むかどうかは、やはり不確実だ。
したがって不確実性という事が、昨日の記事で説明した取引と本日の記事で説明した取引の本質的な違いである様だ。